プロポーションとディティールが終わればサフを吹いていよいよ塗装です。色の組み合わせは適当に決めればいいというわけではなく、これまたカッコいいカラーリングには法則があります。 知っていて敢えて外すのと、知らなくて外すのとでは全然違います。カラーリングにも科学が存在します。
色(色相)の他に彩度と明度があり、同じグループに属する色相を組み合わせると全体的に纏まったカラーリングであると言えます。逆に異なるグループ、特に距離が遠いグループの色を使うとその部分に特別な強調感が生まれます。Sガンダムで言うと赤のパーツです。
赤のパーツは他の黄・青のパーツと比べて彩度を上げた色を採用しています。これにより特にこの部分が可動するような強調を意識した色になっています。ここはあえて「外している」部分となります。
サフが最高潮に見えるメカニズムを以前解説しましたが、色の平均色であるニュートラルグレーでサフ塗装された立体物は脳により色を補完する余地があるため、非常に良く見えます。 逆に塗装すると直接その配色によってシビアに評価することになるのでセオリーを外すと微妙に見えます。
ガンプラ作っててサフまではカッコよかったのに塗装したら微妙になったなぁ・・・って経験がある人は、最初のカラーチャートを参考に配色を決めるといいでしょう。できるだけ同じグループに所属する色相で配色すると全体がスッキリまとまって見えます。
気を付けないといけないのが、配色のセンスというのは先天性のものが強いということです。色盲、色弱は殆どが男性にしか発生せず、映画やアニメの色彩監督は女性ばかりです。 配色に関する能力は女性の方が高く、男性の方が低いことになります。
私は運がいいことに色の足し算が出来るので配色に関しては苦労することはありません。調色もエアブラシのカップで直接混ぜて作ったりします。色をぱっと見るだけでどんな色を混ぜればいいか大体わかります。
ほぼ同じグループ内のカラーリングで纏まった例。
同じ色相で明度が違うパターンも同一グループでまとめるのと同様、色の相性がいい。
ディティールもさることながら配色もかなりのものがあるセイラマスオ氏。彼は確か美術の先生だったと思います。科学的に色を決めているので抜群のカラーリングセンスです。
このようにガンプラの色を決めるにも科学的根拠を持って行いましょう、ということです。これまでと違うアプローチで配色を行うとまた新しい発見があるかもしれませんよ。
あと、艶消しクリアーでコートすると明度が一段階上に上がります。これを考慮して完成をイメージしましょう。 失敗を繰り返し、何度も何度もガンプラを完成させましょう。以前言った「途中で止めずに完成させろ」というのはまさにこの経験を積む絶好の機会だからです。